『ミーントーン(中全音律)/forPiano』
三度の和音が多用されるようになったルネサンス期にパイプオルガンに取り入れられた と言われている調律法のMeantoneは、1523年 アーロン、1571年ツァルリーノ が書き残しているようです。
パイプオルガンの調律をはじめ、他の鍵盤楽器にも、イギリスを中心に近年まで愛用されたと言われています。
純正三度に重きを置いた「ミーントーンの音律」は、そのコンセプトにきちんと合う音楽では、どっしりとしたハーモニーや独特のメロディーを聞かせてくれます。
しかし、♭や♯が多くなると「明らかに狂った和音」となったり、「調子っぱずれなメロディー」が聞こえてきたりと、調や和音の選択が難しくなるのです。
そこで、ピアノなどにミーントーンを施工する際の、調子っぱずれな和音やメロディーを軽減する方法としてアレンジしたのが「Meantone/forPiano」です。
ピアノで[中央のe]と[2オクターブ低いC]の和音が「唸り無し」の感じになるのをコンセプトに、濁った五度を[696.5]から[698cent]に変更したものです。
中音域での長三度(例C-e)には、少し唸りが出てしまいますが、低音が入ると いわゆるミーントーンのような安定した響きが得られます。 同時に[五度の濁り]や[A♭-E♭のウルフ]も改善されます。
ピアノでミーントーン音律を楽しむ際、あるいは現代のミーントーンとしても、ぜひ一度お試しください。
A♭-E♭のウルフの音程は、プレトリウスとシュニットガーのほぼ中間になっています。そして 唸りの多い長三度は428cent→[416cent]に。それでもまだピタゴラスの三度[408cent]より8centも広いですね。
http://okamotopiano.jp 岡本ピアノ工房 岡本芳雄