『Bach’sSeal1.5』
バッハの印章の王冠が示しているとされる調律法では、7つの純正五度[702¢]と5つの濁った五度[697.2¢]が使われています。参照:crown of Bach’s seal
この調律法を現代ピアノに納まりよく調律するために、7つの純正五度を少しだけ濁らせ[701.5¢]に、5つの濁った五度を[697.9¢]に緩和しました。
1.5は、澄んだ五度を701.5¢にする という意味です。
ピアノでは、インハーモニーシティーと呼ばれる現象のため、中音で作った純正五度は高音域では広い五度となり、また、中音で作った純正三度は低音が足された時に狭い三度に聴こえてしまうことがあります。
Bach’s Seal1.5 で は、この矛盾の緩和にチャレンジしました。サイズの小さいピアノでは、さらに平均律に近づけることが必要になるでしょう。
これらの五度の設定から出来るC-eとG-bの長三度[391.6¢]は、ピアノでは納まりが良く、「祈りの響き」として感じられます。
曲によって唸りの多さが気になるピタゴラス三度[408¢]も、少し緩和[406¢]できて、使いやすくなっています。
もちろん、中間の調の個性もグラデーションのごとく設定され、調による多様性を持った調律法の一つです。
純正三度+5.6¢の [C-e]や[G-b]の唸りは、完全なゼロにはなりませんが、低音部や高音部との響きの兼ね合いは自然なものとなります。和音のコントラストも十分大きく、各調の個性も はっきりとしていますので、ピアノで調性感をはっきりと表現したい時には、ぜひ試していただきたい調律法です。
※図の中の印章のデザインは模写です。J.S.Bのイニシャルが目立つように描きました。王冠の真珠には、図で設定している五度の色を着色しています。
実践履歴
2012/05/30ピアニスト坪内久美子さん宅で実験録音 (Bach’sSeal1.6)(企画:北美登利さん) ブログあんなんこんなん
2013/09/26 坪内久美子さん宅で録音CD化(Bach’sSeal1.6) (企画:北美登利、演奏:坪内久美子、録音:山下芳男)
2014/10/02坪内久美子さん演奏: ベートーベン/エリーゼのために(YOUTUBEへ)
2015/04/02ピアニスト坪内久美子さん宅で実験 (Bach’sSeal1.6)(企画:北美登利、演奏:坪内久美子、録音:山下芳男)ラフマニノフ編/クライスラー愛の喜び 他
2015/08/12ピアニスト坪内久美子さん宅で録音 (Bach’sSeal1.6)(企画:北美登利、演奏:坪内久美子、録音:山下芳男) ラフマニノフ編/クライスラー愛の悲しみ
2015/08/12ピアニスト坪内久美子さん宅で録音 (Bach’sSeal1.6)(企画:北美登利、演奏:坪内久美子、録音:山下芳男) ラフマニノフ編/クライスラー愛の喜び
http://okamotopiano.jp 岡本ピアノ工房 岡本芳雄