『ベルクマイスターⅢ』
Andreas Werckmeister
November 30, 1645 – October 26, 1706
was an organist, music theorist, and composer of the Baroque era. ~Wikipediaから引用~
ヴェルクマイスターが書き残した調律法の一つ。古典調律の中でも特に有名です。1980年頃には、我々調律師の仲間内でもよく話題になっていました。
開業当初 さっそくピアノの調律に試しましたが、平均律に慣れていたこともあり、狭く濁った五度[696cent]や広い長三度[408cent]に馴染めませんでした。
それでも、なんとかこの音色のパレットを現代ピアノに取り入れたいと思い研究を始めたのです。この調律法が私の「現代ピアノへの古典調律法のこころみ」のきっかけとなりました。
【考察】
8つの純正五度[702cent]と4つの狭い五度[696cent]が使われています。(702×8+696×4=8400cent)
4つの狭い五度の内の一つを2つ隔てて設定してあるのは、#4つの調から影響をうけてしまう[408cent]の長三度の唸りを減らしたかったのでしょうか・・・
ミーントーン[696.5cent]よりさらに狭い五度[696cent]を使っても、3つ並べただけでは純正三度はできません。
F-aとC-eに出来た共通の長三度[390cent]は、ヴァロッティやヤングの392centよりも唸りが少なく、よりどっしりとした穏やかな響きとなっています。
F-a-Cが、「純正五度とゆったりとした長三度」を得て、澄んで穏やかな響きがするのは、バッハの調律法やキルンベルガーⅢやヤングにも見られる興味深い共通点です。
http://okamotopiano.jp 岡本ピアノ工房 岡本芳雄