Meantone

MeantoneMeantoneDisEs&GisAs ChromaticScale-of-Meantone『アーロンのミーントーン』(中全音律)
1523年 アーロン、1571年ツァルリーノ が書き残す

ミーントーン調律法は、ルネサンス初期の和声音楽が盛んになった頃に見つけられたであろう純正律の、「ひどく狂った五度(D-A)」の緩和と、ギクシャクした音階をなめらかにする為に編み出された調律法と言えるでしょう。

ルネサンス以前から歌われていた単旋律の音楽(例:グレゴリオ聖歌)は、ピタゴラス音律で歌われたであろうと考えられています。
ドミソ&ファラド&ソシレなどの和音と無縁の単旋律音楽では、澄んだ音程の五度が重要になります。
しかし、純正五度が積み重ねられた場合の三度の重音は、うなりが発生し「調和した音程」にはなりません。そのせいで、三度の音程は「不協和音」に感じられたであろうとも言われています。

三和音の美しさが見つけられた時きっと純正和音にチャレンジしたことでしょう。そして純正律の音階も出来たことでしょう。
ドミソ&ファラド&ソシレの和音が完全に調和した純正律は、一方で、ドレミファソラシドの音階がギクシャクした音程となり、また、レとラの音程が完全に狂ったものになってしまいます。
機能和声と呼ばれるドミソ&ファラド&ソシレの和音進行を中心に音楽を作るためには、ギクシャクした音階とレ⇔ラの狂った音程をなんとかしなくてはなりません。
そこで、レ⇔ラの狂いを4つの五度でシェアすることで、純正三度のキープに成功したのがミーントーン(中全音律)の基本的な手法です。

F-a,C-e,G-hが純正三度になるように6つの狭い五度[696.5¢]を並べると、ミーントーン音律(中全音律)が出来上がります。

この純正三度を重視したミーントーン音律を「12の鍵盤に可能な限り」設定したものを、アーロンのミーントーンと呼んでいます。

三度の和音が多用されるようになったルネサンス期にパイプオルガンの調律に取り入れられたのは、厳格でどっしりとした響きが 「祈り」を思わせるからかもしれません。教会にパイプオルガンがどんどん建造される時代です。

純正三度の和音[386cent]を設定するには、並ぶ4つの五度(例:C-G-D-A-E)の合計を2786cent(1200×2+386) とする必要があります。 (参照:シントニックコンマ
これを4等分[2786÷4=696.5]し、五度を狭く濁らせて純正三度を作るのが「ミーントーン」の手法です。

五度圏に狭い五度[696.5]を次々と並べていくと、8つの純正三度[386cent]が出来ますが、最後に[ウルフ]と呼ばれる広く狂った五度と、4つの狂った長三度が出来るのは仕方がありません。

♭A-♭Eに残った[ウルフ]の影響で、#が3つまで♭が2つまでの調の主要三和音ならこの「アローンのミーントーン」で破綻せず演奏できます。
曲に合えば、唸りのない長三度の個性が際立って、五度の濁りにも負けず、どっしりとした美しい響となります。

また、幅広い調に対応するため、♭Aと♭Eの黒鍵を前後に分割し、それぞれ2つの音程を仕組んだパイプオルガンやチェンバロがたくさん製作されたようです。
この事からも、ヨーロッパ音楽の基礎が出来上がる時代には、ミーントーン調律法が広く使われていたことがうかがえます。

この調律法は「バロック時代の古典調律法の源」と考えられます。 参照:オルガンからの古典調律法の変遷

一番下の図は、ミーントーンの半音階を表わしたものです。
平均律[100¢]と比べると、例えばB→Cへの半音は17¢も高く、C→C#への半音は24¢も低いです。
それでなくても不安な感じの半音階ですが、曲の中で聴こえるミーントーンの半音階は、独特の不安さを感じさせます。

http://okamotopiano.jp 岡本ピアノ工房 岡本芳雄