♪ミーントーン(中全音律)の音階

MeantoneScale2016-01-29このページで扱う「音律」は、7つの音で作られる長音階(ダイアトニックスケール)を想定しています。( Cを基点に作図。薄いところは[12音を想定したミーントーン]と[点線と緑の楕円が平均律] )音階比較ミーントーン2013-09-30

「ミーントーンの音律」Meantone Scale

メロディーの心地よさを旨とした音階は、おそらくは「ピタゴラスの音律」に近いものでしょう 。 現代でも、伴奏なしで演奏される音程にその傾向が見られます。

しかし、シンプルな長三度の和音が多用される曲では「ピタゴラスの三度[408cent]」は、心地良いとは言えません。
とりわけ、オルガンの様な持続音の場合は、唸りの多さが強調されるので、不協和音のように感じられても仕方がない程です。
「純正三度の和音」と比べると「およそ2割も高い三度の音程」が不調和感を醸し出してしまうからです。

純正律「純正三度を維持」したまま「D-Aの狂い」と「不自然な音階」を改善する方法として工夫されたのが「ミーントーンの音律」と考えられます。
純正律で「D-Aの五度」が一人で受け持っていた「狂い」を四人で平等にシェアする形で「純正三度」を残しています。
「大きな狂い」をみんなでシェアした分、どの五度も「だいぶん濁る」ことになるは仕方がありません。

ルネサンスの多声音楽が盛んになる頃、パイプオルガンの調律に取り入れられたようです。
純正三度の和音は、「祈りを象徴する和音」として捉えられていたであろうと考えられます。

この音律による主要三和音の響きは、「唸りのない純正三度」によって、どっしりと安定した響きを持ちます。

 

純正律とピタゴラス音律の音階に続いて、ミーントーンの音律を階段状に表しました。

純正律の階段と比較すると、和音だけの考察では解りにくかった「中全音律」の意味をはっきりと見て取ることが出来ます。

全音は、純正律の「小全音」と「大全音」の「ちょうど中間の音程」である193cent
半音は、純正律よりもさらに広い117.5centで出来ています。

ピタゴラス音律の階段とは対照的ですが、やはり、純正律に見られるような階段のデコボコ はありません。

長三度を唸らない純正和音にするのがコンセプトなので、がだいぶん低いですね。

[ウルフ](広く狂った五度)を♭A-♭Eに設定したミーントーン(アロン)では、♭が2つまでと♯が3つまでの調で、この階段の音程となります。

この図で見ると、193centの全音二つ分で純正三度386centになるのも、解り易くなりました。

メロディーの時に高くとると良いと言われる半音は、平均律と比べるとだいぶん広いので、主音Cへの導音としては、適さないのかもしれません。 (考察中)

参照→純正律
参照→ピタゴラスの音律
このページ:ミーントーンの音律
参照→平均律

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