「音」の中には、「自然倍音」と呼ばれている音が同時に鳴っています。

さて、ここに、『ド』 の音が鳴ってる「弦」があるとします。
耳をすませて 「ビーン」とはじくと、『1オクターブ上のド』や、『1oct.+五度上のソ』がいっしょに鳴っているのが聴こえます。
「ギリシア時代のピタゴラスが、鍛冶屋の鎚音から発見した」と言われるあの音です。

『ド』を基音とすると、かすかに聴こえる、『1オクターブ上のド』は第二倍音、 『1oct.+五度上のソ』は第三倍音です。

こんどは、「弦の長さの半分のところ」にそっと触れてはじくと、基音がミュートされて鳴らない代わりに、弦長の1/2を節とする第二倍音の『1オクターブ上のド』がはっきりと聴こえます。
「1/3 または 2/3 のところ」にそっと触れてはじくと、基音も第二倍音もミュートされて、そこを節とする第三倍音の『1oct.+五度上のソ』がはっきりと聴こえるようになります。

下は、「長さ120㎝の弦をドの音に調律した時、どの部分を触ると何の音が出るか?」を表にしたものです。
面白いことに、1/8のところに触れると鳴る「第八倍音のド」の音から順に、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・♭シ・シ・ド と並んでいることが解ります。 
♭シのあたりでちょっと引っかかりますがm(__)m、ここにも音階の成り立ちの元がありそうですね!

十六倍音以上は、弦も短く、音のエネルギーもたいへん小さいのでほとんど聴き取れませんが、音色への影響はたいへん大きいようです。

    弦長     周波数  
  1/1 C 120.0 cm 262 Hz
  1/2 C2 60.0 cm 523 Hz
  1/3 G2 40.0 cm 785 Hz
  1/4 C3 30.0 cm 1047 Hz
  1/5 E3 24.0 cm 1308 Hz
  1/6 G3 20.0 cm 1570 Hz
  1/7 A#3 17.1 cm ♭シ 1831 Hz
  1/8 C4 15.0 cm 2093 Hz
  1/9 D4 13.3 cm 2355 Hz
  1/10 E4 12.0 cm 2616 Hz
  1/11 F4 10.9 cm ふぁ 2878 Hz
  1/12 G4 10.0 cm 3140 Hz
  1/13 A4 9.2 cm 3401 Hz
  1/14 A#4 8.6 cm ♭し 3663 Hz
  1/15 B4 8.0 cm 3924 Hz
  1/16 C5 7.5 cm 4186 Hz
  1/17 C#5 7.1 cm ♯ド 4448 Hz
  1/18 D5 6.7 cm 4709 Hz
  1/19 D#6 6.3 cm ♯レ 4971 Hz
  1/20 E5 6.0 cm 5233 Hz
  1/21 E<X<F 5.7 cm ミとファの間 5494 Hz
  1/22 F5 5.5 cm ファ 5756 Hz
  1/23 F#5 5.2 cm ♯ファ 6017 Hz
  1/24 G5 5.0 cm 6279 Hz
  1/25 G#5 4.8 cm ♯ソ 6541 Hz
  1/26 A5 4.6 cm 6802 Hz
  1/27 A<X<A# 4.4 cm ラと♭シの間 7064 Hz
  1/28 A# 4.3 cm ♭シ 7326 Hz
  1/29 A#<X<B 4.1 cm ♭シとシの間 7587 Hz
  1/30 B5 4.0 cm 7849 Hz
  1/31 B<X<C 3.9 cm シとドの間 8110 Hz
  1/32 C6 3.8 cm 8372 Hz

岡本芳雄:http://www.okamotopiano.jp