Pythagoras

Pythagoras『ピタゴラス』(紀元前582年 – 紀元前496年)は、ピタゴラスの定理などで知られる、古代ギリシアのスーパーマン。
数学も天文学も哲学も音楽の研究も、彼にとっては同じカテゴリーのものだったのかもしれません。

きりっと澄んだ響きの純正五度は、ほんとうに気持ちがいいですね。

ピタゴラス音律は、この澄んだ響きの「純正五度」を 積み重ねた音律( FCGDAE ※← →は純正五度)で、バイオリンの調弦や日本の笙や箏の音律にもこの特徴が見られます。また、グレゴリオ聖歌がこの音律で歌われていたと考えられ、メロディーの美しさが際立つ音程を持っています。

純正五度[702cent]を次々に12回積み重ねると、一周を24centも越えてしまいます。 (参照:ピタゴラスコンマ
鍵盤楽器の12音 に この音律を設定しようとすると、最後に一つのシワ寄せを作らざるをえません。シワ寄せ五度[678cent]は、明らかに狂った和音であり、また 4つの「 純正より若干狭い長三度」 も、この「狭い五度」の影響です。
すなわち、すべての調にピタゴラス音律を設定するのは不可能であると言うことになります。

メロディーが心地よいピタゴラス音律の唸りの多い長三度は、和音として聴くと上ずった音に聞こえ、不安な気持ちになったり 緊張感として感じたり、またあるいは伸びやかな広がりのある響きにも感じることもあります。
バッハの時代に編み出されたたくさんの調律法では、ピタゴラス音律が#や♭の多い調で登場します。※「180度回転させるとキルンベルガーⅠの図とそっくりになる」のも面白いですね。
当時あるいはそれ以降の作曲家もこの特徴を作品作りに取り入れて曲作りをしたかもしれません。

 

 

http://okamotopiano.jp 岡本ピアノ工房 岡本芳雄