パイプオルガンから現代ピアノへ 古典調律法の変遷

ルネサンス時代から、祈りの中心に据えられたパイプオルガンの響きは、人々にとって、心のよりどころ に なっていたに違いありません。
ほとんどの人が教会に通った時代、これらの調律法から発せられる 各調の響きは、当時の、そして後の作曲家にとっても、重要な音のパレットになったと考えられます。

パイプオルガン全盛の時代、名オルガニストでもあったバッハが その響きの特徴を熟知して使っていたであろうことも、想像以上のものと思われます。

祈り自然の理 や 人の心 と共にある、音律の不思議な世界が広がっています。

☆ルネサンス初期からオルガンの調律に取り入れられていたと言われているMeantone調律法
→ルネサンス中期のPraetoriusの調律法
→バロック時代、パイプオルガン全盛の時代のSchnitgerの調律法
→Bachが図で書き残したと考えられている調律法の 渦巻き模様より と 印章の王冠より
→そして、Bachの印章から 現代ピアノに合うようにアレンジした調律法へ。

これらには共通する特徴があります。 その変遷が解りやすいように、パラパラ動画風にWindowsMediaVideoでまとめてみました。
(注:Schnitgerの調律法とBach/EmileJobin氏解読の調律法の間に きっと存在したのではないかと 私が思っている調律法も挟んでいます)

ぜひ、下のファイルをクリックしてご覧ください。

クリックオルガンからの古典調律法の変遷 ※私の想像 にもかかわらず、やや強引にもっともらしく作っています。ご了承ください。

[解説]
Meantoneでは、As-Esにウルフ (狂った広い五度)があります。 このひどいウルフは、12音の鍵盤楽器において最多(8つ)の純正三度を設定した結果です。
ウルフをAs-Esへ配置したのは、♯が3つまで ♭が2つまで 主要三和音に狂った響きが含まれないように工夫されたものと思いますが、
それは、その後のパイプオルガンの調律法である、Praetorius Schnitger にも残っています。
そしてウルフの名残りは、EmileJobin氏によって解読されたBachの調律法にも、長三度の美しい配置と共に残っています。
Bach/印章から解読の調律法では、[完全な純正三度] を あきらめているので、広い五度はなくなっていますが、
Meantoneから変化していった調律法の、美しい長三度の並びはそのまま残っています。
Bach/印章からの調律法は、現代の私たちの耳にとっても、たいへん好感のもてる調律法ですが、インハーモニシティーの強い現代ピアノには、うまく納まりません。
VeryWell 1.0 の手法で Bach’Seal 1.5Bach’Seal 1.0 にアレンジすると、上記の調性感を残したまま現代ピアノにうまく納まる調律法となります。

上記ファイルは、これらの調律法の変化の様子をわかりやすくするために、パラパラ動画風にしたものです。

2012-06-30

http://okamotopiano.jp 岡本ピアノ工房 岡本芳雄